執筆者
HACCP International 日本・韓国地域代表 淺井 伸宏
はじめに(HACCPに求められる条件)
HACCPとは従来の品質管理手法とは異なり、最終製品の検査に頼るのではなく、工程内で危害を消し込むことで安全な商品を提供する食品安全システムである。危害を確実に消し込む為には、食品製造における危害を特定して効果的な管理処置を施す必要がある。そしてその手法には科学的根拠が要求される。HACCPの食品安全システムは一次消費者から食卓までのフードチェーン全体に適用される。HACCPは品質管理担当者だけで取り組む印象を受けるが、成功の為には、経営者と従業員の全員の協力が必要になる。日本で2020 年に法制化、2021 年に完全施行されたHACCPは、国際的に統一された規格であるCODEX HACCPだ。
CODEX HACCPでは、食品衛生の一般原則を規定している。食品衛生の一般原則には、HACCP構築の前提となる食品の生産から製造・流通・消費までの範囲において重要な一般衛生管理プログラムが規定されている。食品衛生の一般原則の構成を表11に示す。そこでは、食品機械及び設備とその取扱い、保守、点検及び衛生は非常に重要なファクターとして位置づけられている。その「施設の設計及び設備」の項では、食品製造工場の立地や設計についての注意事項が記載されている。注意事項では、例えば排水環境が十分でない場所や虫やそ族が群生している場所は食品衛生のトラブルに繋がるため、工場を建設する立地として不向きなことが挙げられる。
そのほか工場内の設備についても言及されており、高い食品衛生レベルを実現する為の項目が記載されている。具体的な記載の内容としては、工場内の商品動線が交差汚染しない構造になっているか、排水溝の設置など清掃がしやすい構造になっているか、床や窓が洗浄剤や殺菌剤に対応した材質になっているか、等がある。
「設備の保守点検や衛生」については、使用する機器の特徴や衛生状態について言及されている。具体的には、HACCP管理が出来る設備が使用されているか、製造機器自体の洗浄・殺菌がしやすい構造であるか、などがポイントになってくる。これが徹底されていないとCCP管理が出来なかったり、製造機器による2 次汚染から食中毒発生へ繋がるので注意が必要だ。その他にも、飲用可能な水を安定して供給できる体制が整っているかもポイントになる。井戸水であれば貯水タンクに入れる前に水質を法律に適合させておく必要がある。水質検査基準に合格した水でないと食品の製造には使用できないからだ。
また、工場内を陽圧に保つことも食品を衛生的に保つポイントになるので重要なポイントだ。陰圧管理されていると工場の外からチリや埃、不快害虫などが入ってきてしまうからだ。洗浄機のメンテナンスも確実に行うようにしなければならない。洗浄機のメンテナンスが行われておらず、洗浄機自体が菌の温床になってしまうこともよく起こりがちだ。そうなると容器を洗浄するどころか逆に、食品容器を汚染してしまうことになってしまうので、ぜひ気を付けたいところである。
1.機械・設備に起因するハザード
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- 表1は誌面にてご覧いただけます ↩︎
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