植物由来食品を日常の選択肢として浸透させる――。(一社)Plant Based Lifestyle lab(東京都、略称P-LAB)が3月に運用を開始した「プラントベース食品認証」が、業界の関心を集めている。既存の「JAS大豆ミート」と「ヴィーガン/ベジタリアン認証」に次ぐ“第三の認証”と位置づけられ、初回は6社17品目が登録された。
P-LABは2019年に淡路島で開催した「ワールドシェフ王サミット」を契機として、株式会社パソナグループ、不二製油株式会社、カゴメ株式会社を中心に2021年10月に発足。現在は大手食品・流通・外食など約50社が加盟する。
設立当初から「プラントベース」という言葉の曖昧さが課題だった。動物由来の原材料を配合せず、植物由来の原材料を使用した食品の分かりやすい製品選びを支援し、消費者の信頼を得るために認証制度を整えた。
制度の最大の特徴は“取り入れやすさ”だ。対象を「動物性原材料を使用しないで製造又は加工された加工食品」とし、原材料だけでなく添加物においても原則的に動物性原材料を使用しないとするが、宗教的・倫理的な完全排除までは求めない。「今日はプラントベースにしよう」と気軽に選べる市場をつくるのが狙いだ。審査はP-LAB内に独立した認証事務局を設けることで第三者による審査を通じて評価を行う。内部完結型とすることでコストとスピードを両立し、年内に100品目超の認証を目指す。
市場浸透に向け、P-LABは小売・外食企業への加盟働きかけを強化。展示会での情報発信も視野に入れる。
国連が警鐘を鳴らす2030年のタンパク質不足――いわゆる“プロテインクライシス”が迫るなか、海外ではプラントベース食品が総タンパク需要の3割を占めるとの試算もある。P-LABは「まず民間規格として機動的に市場を耕し、1年後にJAS化の是非を検討する」(事務局)方針だ。
完全菜食でも大豆ミート専用規格でもない“第三の道”。スーパーの棚で認証ロゴが当たり前に目に入る日が来るか──新制度の行方が注目される。

本記事内容の一部に誤りがありましたため、6月16日に訂正いたしました。 改めておわび申し上げます。食品と開発 編集部 |