執筆者
国立医薬品食品衛生研究所 生化学部 爲廣 紀正
はじめに
現在、我が国では、人口の2%程度が食物アレルギーを罹患していると考えられ、食品を原因としたアナフィラキシーショックによる死亡例は、年間で数名程度が報告されている。レセプト・検診データを用いた解析では、2010 年から2019 年の10 年間で6歳未満の小児の食物アレルギーが1.7倍(3.4%→5.7%)に増加しており、食物アレルギーを発症する人が増え続けている現状にある。
このため我が国では、アレルゲンを含む食品に起因する健康被害を未然に防ぐため、平成13年4月時点で、食品衛生法のもと加工食品のアレルギー表示制度が施行された。平成27年4月には食品表示法が施行され、同法第4条1項に基づき具体的な食品表示基準が定められている。
本項では、当該制度と関連するアレルギー物質を含む食品の検査法について紹介する。
食物アレルゲンを含む食品の表示制度
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